寺山修司観劇。終幕近く近代劇の主人公たちの名前がずらずらっと切り貼りされるのだけどブランチもその一人。『欲望という名の電車』のラスト、精神科医が連れていこうとするシーン。
ブランチ:(朦朧として)私から手を放すように言って。
医者:(看護婦に)放しなさい。
看護婦がブランチを放す。ブランチは医者のほうに手を伸ばす。
医者は優しく彼女を引き上げ、片腕で支え、仕切りから出す。
ブランチ:(腕をしっかり掴み)誰であろうと…
私はいつも見ず知らずの人の親切に頼ってきました。
〜テネシー・ウイリアムズ A Streetcar Named Desire, 1947
最後の台詞で自らの弱さを認めるかと思いきや、支えてくれる医師を「見ず知らずの人」と。殊勝なのか傲慢なのか孤独の総復習なのか。