会話論 weekly~作るヒント、観るヒント127

年末年初は落語。落語芝居に関わったり。
この台本を落語用にどうぞ書き直して、とお貸ししたり。

 テーブルを挟んで夕食をとっている父と子。

父:向かいの藤井君、大学が決まったらしいな。
子:(元気が無い)うん。
父:最近ストレートで合格するのは珍しいな。
子:うん。
父:ま、勇介も来年は受験だな。しょうがないなこれは。
  一生のうちにはそういう試練の時期があるもんだ。
  遊ぶ時には遊んで、勉強する時には
子:僕、大学には行かない(と箸を置く)。
父:…大学には行かないって、何言い出すんだ。
子:僕には前からなりたいものがあったんだ。
父:何だ。
子:僕は(緊迫の間)くのいちになりたいんだ。
父:くのいち。(お茶を湯飲みに注ぐ)
子:(食べている)
父:…くのいちが何が知ってんのか。
子:女の忍者。
父:そう。
子:会社勤めなんて。
父:勇介。
〜故林広志 父と子, 1992

親族代表の竹井くんにも演じてもらった「もろい父権」。
無意味をガッチリ包囲するリアリティ、上手な嘘のつき方。2017.1.8