女性と男性、どちらが無理をしがちだろうか。
男性だろう。
無理というか無茶をするのは男性だ。
敵を倒す、とか。冒険をする、とか。宇宙へ行く、とか。
わざわざそんなことを。
女性は生命維持に聡い。分担を押し付けるのは良くないが。
私が第二期コントサンプルというワークショップで女性コントを作り始めたのは「入社面接前」という設定で3人の女性にエチュードをやってもらったことによる。そこからできたコントが、不合格続きの先輩の悲観と天然娘の楽観との間で「無理せず」置いていかれるバランス女子、というものだ。これが無理で日常を捻じ曲げる男性不条理コントを素敵に超えたのだ。象徴的な台詞が悲観先輩の一言。思い詰めたハスキー声で呟く「私、あとがないの。」この悲観さが決して哀れに見えないのだ。本人は真剣。でもその真剣がどこかズレている。そして芯は強い。例えるなら現在60歳以上なら誰でも知ってる桜田淳子の新妻コントだ。自分の大間違いに気づくたび「よよ」と泣き崩れ放つ素敵な悲観「私ってダメな女ね」悲観的照明と悲観的音楽が舞台を取り巻き夫役の志村けんが嫌気の度合いを身体中をくねらせのたうち表す。爆笑していた現在60歳以上。いやもう少し若い世代でも構造的にはわかるだろう。ズレた悲観は無理に無理を重ねたような「いっちょめいっちょめわーお」つまり60歳以上なら知っている東村山暴走音頭に劣らない威力を備えるのだ。
無理しなくていい。笑いをはらむ空気の中でどのくらいズラし、それをどう受けるか。あと現在60歳以上で言うと(いい加減アップデートしたいもの)『欽ドン』というTV番組のワンコーナー「良いOL悪いOL普通のOL」の良いOL、生田悦子さんだ。「森に入って最初に見える(出会う)動物が結婚相手を表している」と言う心理テストにお局キャラの生田さんの目を閉じ絞り出した一言は「見えませんっ」。無理どころか当然の言葉だからオモロイ。
考えたら彼女たちも三人組、ワークショップで面接エチュードから作った女性トリオHula-Hooperはあの「よせなべトリオ」を意識していたのだろうか。一方で私が台本を提供するイモ欽トリオの公演が9月9日から下北沢にて。次回はそのあたりを空いた時間で書く。無理はしない。そしてそれほど忙しくもない。