出演者座談

絹3エントリーメンバー・座談模様 
『地方御殿』

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土曜の新宿。大変だよ。人混み。これだけは過疎のあの村この村に伝えたい。そして嫁を探しに出て来い。まとまるかどうかは本人の甲斐性次第だ。と、ごった返す花嫁候補をかき分け、絹3エントリーメンバーが顔を揃えた会場は木目調が優しい『浪漫房』。その木目調のお陰か、とっても自然に生ビールが運ばれとっても自然に飲み干され、開始早々皆さんすっかり自然体。そんな自然体な奴らに日頃から不自然な故林が聞いて回る。

—まずはM-1グランプリ一回戦を、なんと東京1000組中1位(!)で通過した東京ダイナマイト。
おっと二郎さん・・食べてますねえ。
二郎:・・・・・(食べている)
二郎さんの一番好きな食べ物ってなんですか?
二郎:(とっても優しそうに微笑んで)もち。
—お餅ですかあ。どんな食べ方がお好みで?
二郎:(食べながら)もちを飲む。
—なるほど。餅は「喉ごし」だと。さて『絹』はひと組15分とお笑いライブの中では長めですが。
二郎:(飲み込んでから)全然対応できますよ。

tokyo東京ダイナマイト
いつのまにか異空間に連れ込まれるような不思議な魅力。ハチミツ二郎+松田大輔。二人のセンスが光る。裏番長的存在がいよいよ表に。見逃せませんよ。オフィス北野所属。お笑いライブ出演他、それぞれ雑誌連載(ハチミツ)やオンエアバトル出演(松田)など。結成ライブにはビートたけしさんも訪れた。

二郎:60分のコントだって出来るスタミナは持ってます。徐々にゆる~くなっていきますけど。
—今回の意気込みを。
二郎:テーマは『夢』ってことにしています。
—それは・・『24時間テレビ』みたいってことですか?
二郎:いえ。全てのコントを夢オチにするってことですね。うふふ。
—私は去年の日比谷野音ワンマンも観に行ったんですけど、「領収書」のツカミ大好きです!
二郎:ああ、あのコントも最近は『夢だった』って終わりにしてるんです。
—あははは。全然そんな必要無い設定なのに。松田さんの意気込みは?
松田:客層がいつもと違うと思うので楽しみです。
二郎:僕らのネタって、お笑いファンじゃない人に理解されることが多いんで。

—今年はどんな一年でしたか?この時期にあえてお伺いしますが。
松田:えー俺は・・なんとなく飛躍の一年だったんじゃないすか?
—だいぶ吉村君に差をつけた、と。
松田:ははははは
—吉村君は今年はどんな一年でした?
吉村:普通でした。
—普通って・・去年は?
吉村:普通!
—松田君と吉村君は名古屋時代に一緒にコントをやってたんですよね(青木さやかさんも一緒)。
松田:吉村はけっこう、男好きなんで、意外と。
吉村:そんなことないよー!
松田:そのへんで満たされてました。需要と供給がね、満たされて。
吉村:ええ、時に需要、時に供給。まあ、化け猫みたいなもんです!

—待って下さい吉村君。化け猫って、あの、需要と供給のたとえなんですか?
吉村:はい。ほら、くるっとするじゃないですか!
—く、くるっと・・?
吉村:化け猫って、くるっと!

mini暴動Mini
第二期コントサンプルで結びついた三浦竜一吉村央は画期的な「ボケ&素直」の組み合わせ。絹は三回連続出場。道具を忘れた芸人の楽屋、フルーツバスケットが雰囲気しか思い出せない友人同志など、ひねった視点から生まれる三浦の呟きを、吉村がホットに肯定し続ける。さしづめ原子核の融合反応。どこへ行く小さく永き頭脳暴動。この日三浦は、出演する『ピチチ5』公演本番のためお休み。

化け猫のたとえにはもう降参。暴動Miniの絹3への意気込みを。
吉村:家族で楽しめるものをやりたいです!
—そんなコンセプトが!?
吉村:あと色々、ワナを仕掛けたいです!
—またちょっと待って下さい、ワナって・・それは精神的な罠ってことですよね。
吉村:いえ、実際に舞台にワナを仕掛けて。
—絹3の暴動は「子供からお年寄りまで楽しめるワナを仕掛ける」と。
吉村:あと、ドリカムのコンサートみたいにしたいです。
オレンヂ:(爆笑)
吉村:ワンダーランドみたいにしたいです!
吉田:いいなー!俺も暴動に入りてえなー

fulamingoフラミンゴ
それぞれ別のコンビで活動していた三人が、一念発起で集結。代表作の『フリ番長』はなんと『ポップジャム』で披露された。ツッコミ・オレンヂの喜劇の動き、吉田敬太の闊達なセリフに、竹森千人のフラのあるキャラ。ハイペースで続けられる単独公演の舞台は、ぶつかり競い合うチームワークが見もの。絹3の舞台でも陣取り合戦が白熱するはず。

オレンヂ:今回フラミンゴは故林さんの台本に乗っかって・・ね!すんません、酔っ払ってます。
吉田:ええ、今回はどういう感じかというと(オレンヂに)どういう感じ?

オレンヂ:お前が言うんじゃないのかよ。
吉田:だから、前回楽しんでくれた人も!今回初めて来る人も!(オレンヂに)何?
オレンヂ:あははっ。最後まで自分で言えよ!まあ、今年は幅が広がったんで。色んな面で。そのへんの成果を絹3で。
吉田:去年が中央線だとしたら、今年は山手線だと。

—おお、その心は?
吉田:(考えてなかった。詰まる)えー・・あらららら(ごまかし笑い)ま、今年は単独ライブとかしょっちゅうやりまして
—山手線はどこいったの?
吉田:ちょっとカットで(笑)。ま、今年は自分的に頑張ったので、来年は俺、行くんじゃないかと。
—何、それはピンでってこと?
吉田:ええ、フラミンゴとは一切関係無く、自分の収入だけが6倍になるかと。司会の仕事で。なんなりと御用命を!ええ、面白い葬式にします!
—ではこの中で一番『さんま御殿』に近い東京ダイナマイトに話を戻して・・野望などありましたら。
二郎:実は今年、9月ごろに、人生のゴールを一つ迎えたんですよ。
—人生のゴール!?
二郎:子供の頃からの夢だった(破顔)泥棒をつかまえたんです。
—こっれっはー・・吉村君!負けずに話用意しといてよー。
吉村:はい!
—すみません、どんな状況でつかまえたんですか?
二郎:新大久保に引っ越して。ま、これがまず大きなポイントなんですけど。午前11時半ごろ、パチンコ屋の裏道を歩いてると、向こうから見るからに泥棒って人が走ってきたんです。
—ほおかむりとかしてたんですか?
二郎:いやいや、でもその人の写真を、携帯の待ち受け画面にしてるんですけど。
一同大笑い。
二郎:その人の後ろをおじさんが『つかまえてくれ!』って。で、つかまえて壁に押しつけて、引き渡したんです。

—凄いなー。はい・・じゃ、吉村君。
吉村:はい!(張り切ってる)
—何をつかまえた?
吉村:そんなフリーっ?考えてた話ができない!今マフィアに入ったって話を考えてたのにー!
松田:でも吉村も泥棒つかまえたんですよ。
吉村:そう、ほんとほんと。
松田:ただ追い掛けて、足が速いもんで追い越しちゃったんですよ。

—吉村君、走ることに夢中になりそうだしなー泥棒忘れて。じゃ吉村君、お客さんへのメッセージを。
吉村:(すっごい笑顔、指を差してポーズ)罠に、引っ掛かれよっ!
—卑怯なのか堂々としてるのかわかんないね。・・・ではでは吉田敬太と共にちょっと移動して・・・エンブゼミ選抜ユニットのテーブルへ。

enbu-garl絹3エンブゼミ選抜ユニット
TWIN-BEAT仕切りのオーディションで選ばれたエンブゼミ出身の五人。今回は女性ばかりです。葛木英(松村武クラス)、高貫弥生(高井浩子&永井秀樹組クラス)、中川円(ケラクラス)、坂元美佐登(後藤ひろひとSSクラス)、土田恵(後藤ひろひとSSクラス)。絹代の二人の作・演出でドラマ寄りのコントが作られる予定。これも絹ならでは。

—市松君(作家)、紹介して下さい。
市松:エンブゼミ出身、葛木さんです。
葛木:葛木英(くずきあきら)です。宜しくお願いしまーす。
吉田:お酒飲んでいい年令?
葛木:ハタチですから、ええ。
市松:坂元さんです。ゲンちゃんです。熊本出身!
坂元:あ、ええ・・
葛木:阿蘇山!
根本:肥後もっこす!細川首相!

—根本君(作家)、飛ばしてるねー、市松君、負けずに。前へ前へ出てこないと。
市松:エンブユニットに台本を書く市松です。基本的にひきこもりですけど、そろそろ頑張っていこうかなーと。
一同「外へ外へ!」

1市松泰思 2根本竜生
絹代(2002.11~)からのタッグはお二人とも戯曲セミナー(日本劇作家協会)の出身。SF的設定に身近な人間関係を入れ込む「秋田の市松」と、情報と語彙と好奇心で勝負する「福井の根本」。裏日本のコント界を背負って立つ。絹3ではエンブゼミ選抜ユニットに台本を我先に提供(故林監修)。並ぶとほんのりケミストリーに似ている。

–根本君と市松君で一本ずつ台本を出すほか、合作も候補に(そのうち1本を厳選)。
根本:合作は市松さんが書いたのをベースに、俺が直しを入れさせてもらって、故林さんにダメ出しもらって仕上げるってことで・・。市松さん、最近の内面の問題とか言ったらどうですか?
市松:ああ・・彼女がね(このあと余り
個人的な話が続くのでカット)
吉田:そんなことより熊本ですよ(坂元に)ね!
坂元:いえいえ。
吉田:からしレンコン!

—何才まで熊本にいたの?
坂元:あの、ここまで盛り上がっちゃったんで言いにくかったんですけど・・熊本出身じゃないです。
一同静寂。
坂元:鹿児島です。
吉田:薩摩芋!鹿児島実業!

—お笑いとかって見ます?
坂元:シティボーイズのビデオ、面白かったです。あとオンエアバトル、見てます。
—お、オンエアバトルといえば吉田君も
吉田:前のコンビで2回挑んで・・いいじゃないですかそれは。絹3では面白いものを!
—東京ダイナマイトの次に『さんま御殿』に近いってことで
吉田:フラミンゴもね、いずれ出ますよー。
—視聴者ハガキのVの方に。
吉田:そっちかあ・・
—葛木さんはどこ出身?
葛木:東京です。中野区です。
吉田:そうかー、僕は東京都心には許しがたい感情を覚えますんで。
葛木:一体何が?
吉田:僕は東京でも東久留米っていう崖っぷちなんで。西武ライオンズしか心の頼りが無い。だから『埼玉?』なんて間違われるともう、ぶっ壊したくなりますから。

—エンブユニットの抱負は?
坂元:女の子5人で頑張ります。
葛木:できるだけ芸人さんにヒケを取らないようにー
吉田:違うじゃん!頭しっかりしてるあなたたちが収拾つけてくれないとー。芸人なんて!
—そんなこと言いながらミーティング重ねてくると思うよーフラミンゴ。(ここで二郎さんの体が回転、こちらを向く)あ、二郎さん。こちらエンブユニットです。
二郎:・・・(笑顔で食べ出す)
吉田:そんなことより食欲みたいです、こっち側に醤油があっただけで。
—じゃ、根本君、まとめてくれます?
一同拍手。
根本:(周りを一人ずつ指し)鹿児島、東京、埼玉・・
吉田:(埼玉と言われ)違うからっ!
根本:そして秋田、福井。色んな地方から集まったユニットですが、決してその場しのぎと言われないようにして、素敵なコントをお送りしたいですねー!
一同「おおー!」拍手。
—では本音を。
「(すぐ)恐いっすねー。いつ『シカト』って書かれた紙が女の子の間で回るかと思うと(笑)」

  ———2003/10/25 浪漫房にて