東京ダイナマイト×故林対談

東京ダイナマイト、絹参加一周年対談 
DYNAMITE 04/05

関係者+コアな客の熱烈支持を集めていた日々から、この1年で一気にメジャー階段を昇り始めた東京ダイナマイト!職人的な間、温故知新な脱力会話・・練りコントの一つの完成形として、またジャンル越えの象徴として『絹』に参加願ったのが昨年秋。5回連続して見せつけてくれた圧倒感。そのへんのことから、先頃の呪われた?M1のことまでを対談。絹楽屋にて。
2005はみんな見上げる頂点へ。 
[東京ダイナマイトblog]

 

あの、絹の
お客さんて

故林:絹は結局・・5回連続。
二郎:『カットチャンピオン』やって、『血だらけ兄弟』やって・・俺の入院で松田ソロ出演ってのがあって、『ビックリチキンカツ弁当』やって。で『肉まん』。・・(笑顔)あの、12月は何があっても『肉まん』をやるんですよ。
故林:え。そんな、『芝浜』みたいな。
二郎:ええ、『芝浜』みたいに。12月は『肉まん』中心にやるんです。じゃあなぜそれをM1ではやらなかったのかって話ですけど。
松田:はっはっは。
故林:絹に最初に出る前、呑んでた時に「自分たちは演芸以外のお客にウケるところがある」って言ってたよね。

二郎:そうですね。・・あの、絹のお客さんて、TVで見た事あるってものより、ノ-マークで面白いものを観る方が楽しいって感じるみたいですね。
松田:そうっすね。
故林:すわ親治さんが言ってたんだけど、タモリさんたち以降お客より上の立場から指摘したりする笑いが増えた中で、東京ダイナマイトみたいに「あ~、こいつらバカなんだ、どうしようもねえな」ってお客さんに思わせて笑いを取るコンビは貴重だって。
二郎:ネタ合わせしてるときにすわさんに『おもしろいね』って言われたときは嬉しかったですね。
故林:ネタを作る時にこだわりとかある?
二郎:あのー、考え直さないですね。第一発想で二人がガーッて笑ったギャグは、練習続けていって「これおもしろかったっけ?」ってなっても直さない。絶対使うんです。だからこの会のコンセプトと違うかもしれないですけど、練らないことが逆に練ることだと。

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二人ともが面白い
コンビに

故林:えーっと、相方が今の松田君になって3年。
二郎・松田:そうですね・・
故林:最初に組んだいきさつとかって?
二郎:前の相方で東京ダイナマイトやってる時に(松田君が)観てくれてて
松田:ハイ。
二郎:前の相方がいなくなって、『とん八プロ』(二郎さん主宰のお笑いライブ)を始めて。ユニットで大川興業のライブに出てたんですけど、そこで最初青木さやかと一緒になって。で、次の日ぐらいに中野歩いてたら青木さんとバッタリ会って、話してるうち「私、東京に出て来たいんですよ(当時青木さんは名古屋在住)」って話になったんです。
松田:そのころ僕は東京に出て来てたんですけど、青木さんはまだ名古屋で(青木さんと松田君は最初名古屋で一緒に活動していた)。
二郎:で、名刺を渡しといたら「松田大輔単独ライブ」ってDMが来て。
松田:こっち出て来たとき、Fu-で一回単独ライブをやったんです。
二郎:青木さんに紹介してもらって。とん八プロもピンで出てくれてたんですよ。「松田大輔」で。
故林:でもさー、二郎さんの相方って高い要求をされるんじゃない?
二郎:ええ、だから前の相方辞めてからすぐには探さなかったですよ。合う奴いないだろって。でも決めたのは、トークショーの時(松田と)並んだ感じだったんです。
故林:絵的なもの。
二郎:俺の中で「ワンマンコンビ」ってダメなんですよ。一人で引っ張る漫才コンビとかってあるじゃないですか。でも特に東京でやるんだったら、とんねるずやウッチャンナンチャンみたいに両方おもしろくて、ボケとツッコミって区別が特に無く、その時その時の役割でやれる。それとあと並んだ感じっていうのを気にしてたんで。
故林:最初合わせるために結構時間使った?
二郎:(笑顔)それがまた、初舞台がモリエールの単独だったんですよ。
故林:その頃から思い切ったことやってたんだねええ。
二郎:それまで二人で出たことって一回も無くて。試運転一切無し。
故林:松田君、不安あったんじゃない?
松田:まー緊張はしましたけど、でも俺ずっと(前の)東京ダイナマイト見てるときに「あー、俺ココの枠でボケたいなー」って感じてて。「俺ならこうする」とか。でもさすがに今、第一回の単独のビデオは恥ずかしくて見てられない(笑)。
二郎:俺も見れないですね(笑顔)。
故林:松田君、ピンでやってた頃とそんなスタイル変えてないよね。
松田:変えてないっすねー。
故林:異種のものがこんなふうにくっついてうまく行ってるって一見不思議だよね。
二郎:俺は今もユニットって感じありますよ。それはいい意味で。元々別々でも出来る二人が一緒にやり続けているって感じ。今でも東京ダイナマイトの単独では一人ずつでネタやるし。

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大きいホームランを
打ち続けてないと

故林:これから楽しみだね。M1もあと7回チャンスあるから(今の東京ダイナマイトは結成3年目)。
二郎:あのー、2005はもう、出ますんで。
故林:意気込みだ。
二郎:あと、例えば吉本興業と絡めるように。ガッチリ。
松田:場数が違いますしね、吉本の人は。
二郎:彼ら、ルミネとか月に8回ぐらいライブに出て、毎回満席だから4000人に見せてる。ひと月で。俺たちみたいに8回のライブで700人に見せてるのとでは全然違う。俺たちのホームランって、吉本を東京ドームとしたら、ホームランラインの手前で落ちてるのもあるんです。
故林:広島球場なら入ってても。
二郎:大きいホームラン打ち続けてないとM1なんかでは通用しない。
故林:・・今回のM1の決勝メンバーって、勉強不足で余り知らなくてさ。
二郎:始めて4~5年のコンビが多かったですね。でも予選から見てた人はあのメンバーで違和感無いんですよ。ホントに名前のある人に勝ったメンバー。まあ、決勝でもっと力を発揮するコンビはいたかもしれないけど。
故林:「あの中でアンタッチャブルは負けられない」って審査員の人が言ってたけどね。
二郎:んー、俺たち勢いだけで行っちゃったかもしれないです。
故林:漫才のやり方云々って話?
松田:センターマイクに近ければ近い方がいいって信じてましたから(笑)。
故林:はは、確かにすっごい二人近く立ってたよね(笑)。衣装のフサフサがお互い触れ合ってた。
二郎:マイクの位置は高ければ高いほどいい、とかね。
故林:そんな競い合いじゃないよな。制限時間ってどれくらいだったっけ?
二郎:4分厳守。
故林:うーん、テンポの速い東京ダイナマイトってどうにも馴染めないというか。やっぱり。すわさんの言葉じゃないけど「こいつらバカだなー」ってゆるさが無くなってた。二人が「出来る人」っていうか、シャープな感じに見えたよ。回転が速いぶん。
二郎:テンポを速くすることがあの会場に合わせることかなって、一瞬やりながら思ってたかもしれないです。それが実は逆だった。
故林:ポイズンガールバンドとか、ああいうラインだったらダイナマイトが上に行ける。
二郎:でもポイズンガールバンドも速くなってたっていう。
故林:二郎さんのふだんの投げやりっぽい面白さのところが、やる気満々な人になってた気がする。
二郎:それは結構言われましたね。俺が「らしくなかった」って。もっと好きにやって良かったのかなって。ホントは勝ち進んで2本目で「血だらけ兄弟」をやるつもりだったんですけど。
故林:あー見たかったな。ああいう勝ち抜き的なものってネタの出し方が難しい。僕には二人がウケてるイメージが強くあるから、あのM1見てしまうとやっぱりもっといいネタあったのにって思ってしまう。ところでさ(二郎さんが話しながらずっと持ってる刀を指し)これはなんなの?そもそもは。
二郎:M1の準決勝で、なんか他のコンビと差つけようと思って刀をとにかく持っていって、それがすっごい盛り上がって、決勝で盛り上がらなかったっていう。
故林:決勝の会場のお客に、ダイナマイトってどういうキャラかわかってる人が少なかった。
松田:それはあったかもしれないっすね。
故林:さて2005年、シアターアプルの単独(『ダイナマニア』)と、あと夏の大きなライブっていうのは・・
松田:野音(日比谷)です。
故林:あ。あれ(2001年夏)以来か。それはなんか感無量だね。
二郎:借金返し終わった途端にまた抱えるみたいな。
故林:ダイナマイト見てると小賢しくやってる人たちがホント小さく見えるよ。芸が何気なくて、遊びふんだんなのに、太い筋が通ってる。これからも貫いてね。絹もぜひ。
二郎:ええ、これからもよろしくお願いします。
松田:よろしくお願い
します。

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