上岡演劇祭パンフ

(第6回上岡演劇祭・全体パンフより)

GOVERNMENT OF DOGS / GUILTY~あんなよさそうな人が~

 私は、幼い頃愛を惜しみなく受けて育ったせいか、世の中に悪い人なんていないと信じていました。天使のように無邪気は子供たちはお年寄りをいたわるものであり、お姉さん達はスキップしながら花畑を横切るものだと信じていました。しかし、やがて出逢うのです。ヘビのように執念深い子供達が浮浪者を袋叩きにし、お姉さん達が麻薬で頭の中だけ花畑になっている犯罪があふれる現実に。周囲の人が口を揃えて言います、「あんな、よさそうな人が犯罪を犯すなんて・・」
 人間は本来良い人ばかりのはず。きっと、やむなき理由があったんだ。そうだ、そうに違いない。言われたくないことを言われて、ついカッとなったにちがいない。大人だってカッとなるときはある。大人なら「お前の母さんデベソ」と言われても怒らないだろうが、「おたくのお母様、おヘソが出ていらっしゃる」と言われたらカッとせざるをないだろう。
 犯罪のしくみ。そこにはコントなんかでふざけ半分に扱ったりしてはいけない人間ドラマがある。それをふざけて扱います。今回のガバメント・オブ・ドッグスの世界は、子供達に悪影響をあたえるかもしれません。クレヨンしんちゃんみたいだ・・・。

土田英生について近所の主婦が語る。
「とにかく活発なお子さんでね。中学時代に横浜銀蝿に夢中になって仏恥義理(ぶっちぎり)とか本来漢字じゃないものを漢字で書いてたのを憶えてますわ。落語が好きでね、卍獣恐威(まんじゅうこわい)なんて本当に恐そうな咄をしてましたの。大学を中退されて東京の「月蝕歌劇団」
(これまた恐そうな名前ですけど)に入られて、1989年かしらMonoって劇団を旗揚げされて・・・。先月も東京で公演されてたらしいのに、麻薬所持ですかぁ・・・。あんなよさそうな人がねえ。」

水沼健についてマンションの管理人語る。
「真面目な方でしたよ、ええ、家賃もきちっと払いなさるし。第一ボタンもきちんと閉めていなさるし、Monoという劇団でも欲張らない飄々とした、こう、益田喜頓みたいな演技で活躍されていなさって、ガバメント・オブ・ドッグス結成時(1991)からのメンバーでしたのに、結婚詐欺とはねぇ、よさそうな人でしたのに・・」



犬飼若浩について近所の子供語る。
「うん、休みの日なんかよくあそんでくれた。だいがくじだいからげきだんに入ってはったし、声もよかったし、お顔もきりっとしてはるし、やくしゃさんになりはるのかなぁと思ってた矢先の売春斡旋でしょう、正味な話意外ですわな。私も急におっさんくさい喋り方に変わってしまうで。よさそうな人でしたよ・・・」



西山智樹について本人の父親語る。
「息子は舞台で頑張っとる。去年からはガバメント・オブ・ドッグスにも参加し注目されとる。絶対、人なんか殺しておらん。」



エディ・B・アッチャマンについて中学の先生語る。
「ガバメント・オブ・ドッグスをずっとバックアップしてきた京都Kskホールの閉館後も故林とコンビを組み東京の各ライブ会場に出演して、オバハン役や天使役で特出したキャラクターを印象づけてたのに・・・そうですかぁ、パーティ券を買ってるところを保護されましたか」

故林広志について愛犬家仲間語る。
「エディと小学校入学と同時に知り合い、翌年コンビ結成。初舞台は2組の藤林君のお誕生日ですか。大学時代に土田と知り合い、ガバメント・オブ・ドッグス結成。それ以外にも落語家・立川志の輔や、フジTv『とぶ薬Z』の台本、」若手漫才師とのトークライブなんかもやってるのに、30人連続婦女暴行殺人死体遺棄ですかぁ・・・あんなよさそうな人が・・」

みんな上岡演劇祭で更正→社会復帰を誓う!