当時はポピュラー2 フライヤーコメント

青年団主宰 平田オリザ 私もよく年令不祥と言われるのだが、考えてみると、高山さんもいくつなのだかよくわからない。お付き合いが始まってから、もう10年以上経つのだから、お互いにいい歳になっているはずなのだが、彼はいつまでたっても好青年の風貌だ。もしかすると彼の一人芝居そのままに、好青年の外見を演じきっているのかもしれない。だって高山さんの作る芝居自体は、悪意や皮肉に満ちていて、老練な業師の仕事のように見えるのだ。いったい、いくつになったのか、今度会ったら聞いてみよう。

Piper 後藤ひろひと キッチュと故林広志とはね。なんとも無気味な組み合わせだなオイ。できる事なら組ませたくない二人だ。お前ら特殊部隊の出身かって思うくらい二人とも感情や心の動きを押し殺すことができるんだ。だからいつも意表を突かれる。ジャイアント馬場がゴングと同時にニッコリ笑いながら相手に握手を求めたふりをしていきなり口から火炎をはくようなそんな気にさせられるんだ。二人の物の考え方ってどっか『社会に対する復讐』っぽい。『当時はポピュラー』なんてタイトルに騙されるな。絶対復讐されるぞ。

猫ニャー ブルースカイ 最近読んでおもしろかった小説は夏目漱石の『こころ』です。親友を裏切って恋人を得たが、親友が自殺したために罪悪感に苦しみ、自らも死を選ぶ孤独な明治の知識人の内面を描いた作品で、これは!”我執”という主題を抑制された透明な文体で展開した後期三部作の終局をなす秀作です。ボクもこれだけがんばって文庫の背表紙の文を写したのですから故林さん、『当時はポピュラー2』では是非この「こころ」を舞台化してください。