ホームコメディアンズ・アワー/御祝リバーバンド

ホームコメディアンズ・アワー『帰れない二人』
2006.6.7-11@三鷹市芸術文化センター

リアルじゃない台詞も言ってしまってOK。屋根の上でギターを弾き、教師が総理大臣と呼ばれた、そんなころのドラマを現代のなんというか中央線沿線に持って来てみよう。七人の笑いキャラ〜結成、Home Comedians(脚本/演出:故林広志)。

阿藤さんが「冗談通じん頑固パパ」。「意外と考えてる爆弾娘」に堀越のりさん。そんな父子家庭、あったら自動的にコメディ→→謎の中国人ホームステイ=ワンさんの一大計画に、優柔不断な恋人とハイテンションな西荻のおばちゃんとホームコメディになんとなく不可欠なラーメン屋の御主人が巻き込まれ、長髪ベルボトムに下駄の強力フォークシンガーが駆けつけ気づけば人同士がめでたくつながって…でも目指すもの知った「二人」は出発の決意、極楽特急。
[出演]阿藤快 堀越のり 小村裕次郎 楠見薫 村上航 瓜生和成 木村悟 / 鯨エマ 光瀬指絵 中島愛子 国分崇 櫻田敦彦
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登場人物 舞台写真 挿入歌 御祝リバーバンド(故林作詞)

阿藤快さん・堀越のりさん、故林そして三鷹市芸術文化振興財団の森元さんで顔合わせ対談。延々スクロールしてみよう↓

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【まずは、先日三鷹の駅前で撮影した、今回の宣伝写真を眺めながら】
故林:先日顔合わせで写真撮影を行いましたが、今回の宣伝写真の印象はいかがですか?
この写真を使って、チラシとポスターを作って、ポスターは三鷹市内を走るバスに一ヶ月間貼り出
されるそうです。
阿藤:あ、そうなんですか、すごいですね。「三丁目の夕日」に負けないポスターになりそうだなあ(笑)
故林:ああ、そうですね(笑)
阿藤:なんか役者さんみんな個性があって…でも全体としては柔らかい感じがするというのが、なんかいいよなあ?
堀越:はい。私、撮っている時に、こんな感じに写っているとは思わなくて。70年代風というか、結構びっくりしました。
阿藤:ああ、そうだね。でも、70年代風って写真栄えするよね。衣装はわりと色がはっきりしてるのかな。
故林:単色というか原色というか。
阿藤:若者達が、主張している時代だったからね。
故林:ああ、それもあるかもしれませんね。
阿藤:その意味で言うと、ポスター映えするような衣装だねえ。
堀越:なんか、いいですね。俄然、これを見てから燃えてきました(笑)
阿藤:燃えてきた?(笑)
堀越:なんか三鷹に負けそうですよね。私が三鷹に負けちゃいそうなの(笑)
故林:阿藤さんはどこの町にも馴染みますよね。
阿藤:そんなことないでしょ(笑)
一同:(笑)
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堀越:いや、馴染んでますよ(笑)
故林:撮影中に、ここに写ってるお店にサインしに行かれてましたよね。ごく自然にお店の中に入って。
阿藤:そうそう。サインしてって言うから。あのおばちゃんはチケット買ってくれるね。
一同:(笑)
阿藤:でもほんと、この写真すごくいいよね。これイメージ通りじゃないですか。
故林:もう本当にイメージ以上です。結構、気に入る町並みを見つけるまでは大変でした。ちなみに後ろの4人のイメージは、昔流行った漫画の『マカロニほうれん荘』って感じです(笑)
どうですか、他の役者の方々の印象は?まだあまりお話はされてないと思うんですけど。
阿藤:衣装の色合いじゃないですけど、どの役者もどこかに夢とハングリーさを持っている気配が見えてね、だからピッタリじゃないかなと思うんだよね。
故林:共通しているのは、皆さん70年代っぽいっていうキーワードで話をすると判ってくださったみたいで、ああ、ああいう感じねっていうのがあって。年齢が割と70年代のテレビドラマとかに親しんでいた、当時中学生くらいだった人たちが集まっている感じが・・・ただ、堀越さんだけは、だいぶ若い年齢で・・・
堀越:はい(笑)
阿藤:何年生まれ?
堀越:1982年生まれです
阿藤:82年だって、とんでもねぇな(笑)
堀越:とんでもねぇって何ですか(笑)
一同:(笑)
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阿藤:とんでもねえよ。だって俺、1971年に役者デビューだもん。
だからよく覚えていますよ。70年代始めの雰囲気は。
堀越:私は今回の出演がきっかけで、70年代が一気に自分に入り込んでくる感じで、撮影でお会いしたときも、皆さんこの衣装だったので、もうはまりすぎてて(笑)
一同:(笑)

【お芝居の設定は現代。でも、舞台からは1970年代の中央線沿線の雰囲気が立ちのぼります】
故林:その頃中央線沿線に住んでた人って多いですよね。
阿藤:多いです、多いです。憧れてたよね。
故林:ようするに、とにかくあんまりお金はないんですけど・・・下宿街っていう感じで。
阿藤:特にそうでしょ、三鷹とか。こういう芸術家っぽいっていうか、多かったでしょ。
故林:例えば吉田拓郎さんが高円寺だったり、井上陽水さんが三鷹だったり。あと忌野清志郎さんとか
阿藤:それぞれの自分のスタイルで、みんな自分はこれが好きだっていう生き方やファッションをしていたわけだから。なんて言うんですか、フリーターじゃないですけど、あの頃何だっけ?ええっと、こういう髪を伸ばしてって人達のことなんだっけ?
森元:ヒッピー。
阿藤:ヒッピー、ヒッピー。忘れちゃってたよ、ヒッピーって言葉(笑)
故林:テレビや映画の現場とか、まだまだやり尽くしてないって感じがあって、色んなアイディアが出てきた時代ですよね。阿藤さんは、やっぱり映画にたくさん出ていらっしゃった頃ですよね。
阿藤:そうですね、一番最初は映画ですからね。
故林:あの「鳴海さぁん」って、波止場で松田優作さんを出迎えているシーンとかが印象的で。
阿藤:遊戯シリーズの2作目の「殺人遊戯」ですね。あの頃はね、映画会社が1ヶ月に2本ずつ映画を作ってたんですよ。
堀越:すごいですね。
阿藤:もう現場がいつもギリギリな感じで、でも日本映画が凄く燃えてて、エネルギーに満ちていた時代でしたね。
故林:ドラマで言うと「時間ですよ」とか「寺内貫太郎一家」とかが大ヒットしてた頃で、樹木希林さんがおばあちゃんの役をやってて、堺正章さんとか西城秀樹さんとか浅田美代子さんとかが屋根の上でギターとかひいたりする、そういうシーンが平気であったりして。
阿藤:昔はホームドラマで、親父役とかよく喧嘩してたなあ(笑)
故林:わざと食事のシーンでね、ごはんを口に入れてる時に喧嘩が始まって。
阿藤:ひっくり返すんだよね。うわーってな感じで(笑)
一同:(笑)
阿藤:でも、あれはデフォルメされてる世界かもしれないけど、当時はそういうことはなきにしもあらずというか、家庭の中でね。そういう熱さはあった。親父がちゃんと親父してた時代だね。
故林:今回の芝居では、お父さんらしいお父さんとか、娘さんらしい娘さんとかそういう感じも描けたらなあって。「ああ、親子ってこんな感じだったなあ」ってそういう思いで見てもらえるとありがたいなって。
阿藤:そういうのが失われてきちゃったからねえ。

【阿藤さんは6年ぶり。そして堀越さんは初舞台です】
故林:阿藤さんは久々の舞台ですよね。
阿藤:6年ぶりかなあ。生の舞台はまあ大変だからねえ。今回は声を掛けてもらった時に、(作家やプロデューサーの)熱い気持ちがよく伝わって来たんで、あ、ぼちぼちやんなきゃねって思って。ちょっときっちりと(お客さんに)見せたいっていうのがあるかな。
森元:三鷹のホールは250席で、全部で11列しかないので、お客さんからもよく見えますし、役者さんもお客さんの顔とかよく見えると思いますよ。
阿藤:そりゃあいいねえ。きっちり見てもらえるねえ。
故林:今回の役者さんは、もしも、ちょっと舞台上でハプニングがあったり、誰かがアドリブを飛ばしたりしても、それを受けとめることのできる達者な役者さんばかりなので、だから、あまりこう窮屈な感じじゃなくて、決めるところは決めていきますけど、ちょっと幅が広い、融通がきくような・・・。
阿藤:俺、毎日芝居変わるんですよ(笑)
故林:あ、いいですね(笑)
阿藤:もちろん稽古で練っていくんだけど、いざ舞台に出てお客さんがいると「もしかしてこっちの方がいいんじゃないかなあ」っていろいろと改善していくの。だから初日と千秋楽でまるっきり芝居が違ったりするよ(笑)
故林:堀越さんはどうですか?今回が初めての舞台ですよね。
堀越:お客様が楽しみにして見に来てくださるっているっていう舞台に、自分が立つということで、どれだけ出来るかも不安もあるし、楽しみだし・・・
阿藤:でも逆にね、見てるとね、たとえばテレビのスタジオとかなんかよりね、女優やってる方がいいと思うわ、堀越は。
堀越:えっ、本当ですか!
阿藤:そんなに大人しいわけじゃないけど、かといって前へ前へって感じじゃないしね。
女優さんに向いてると思うよ。だからすごい化ける可能性があると思うなあ。
堀越:ははは(照れ笑い)頑張ります!

【故林さんが、お二人をキャスティングしたわけは】
森元:故林さんとキャスティングの話をしていた時に「お父さん役は、阿藤さんがいいなぁ」って相談しながら、私が阿藤さんの出演された映画やテレビの話をしていたら、故林さんが「いや僕はね、阿藤さんにはラジオのイメージがある」って。
阿藤:へええ
故林:僕はですね、関西で生まれ育ったので、(関西ローカルの)ジャムジャムイレブンってラジオ番組を、中学生の時によく聞いてまして。
阿藤:ああ、覚えてますか!ありがとうございます。あれはね、なんか新しいことやりたいって、若いプロデューサーさんが。とにかく何かをぱっと渡されて、それについてひたすら喋るっていう(笑)
故林:面白かったです(笑)
阿藤:切り抜いた新聞記事をぱっと渡されたり、渡辺真知子さんの「かもめが飛んだ日」の歌詞を渡されて「さあ、喋って」って(笑)
一同:(笑)
阿藤:2年間くらいやってたかなあ。
故林:堀越さんは、バラエティに出ていらっしゃるイメージが強くて。今回の娘役には、20代の元気な、頭の回転が早い人ということでキャスティングしまして。
堀越:あ、私ですか(笑)
故林:堀越さんは、阿藤さんのイメージって言うと?
堀越:私は申し訳ないんですけど、映画とかラジオとかは存じ上げなくて、阿藤さんというとバラエティに出ていらっしゃるイメージで。
阿藤:そりゃそうだよな。
堀越:特に、旅番組で、ご飯を食べていらっしゃるイメージが。
阿藤:ご飯食べてるよねえ(笑)。
一同:(笑)
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【今回のお芝居に向けて】
故林:阿藤さんは台詞覚えが早いっていうお話を聞いたんですが・・・
阿藤:いやいやそんなことは・・・。でもまあ、比較的早いほうかもしれませんね。いい本だったら早いかもしれない(笑)
故林:いい本だったら(笑)それは気になる(笑)
森元:じゃあ、稽古が始まってから、阿藤さんがなかなか台詞が入らないようだと「脚本に問題があるのでは・・・」って故林さんと相談しなければ(笑)
阿藤:いやいや、そんなことはないです。入りにくい本ですか?(笑)
一同:(笑)
故林:堀越さんはいかがですか、台本の覚えは?
堀越:私ですか?うぅ~ん、どうかなあ・・・・・・。たぶん結構早めに覚えようと頑張ってやるタイプだと思います。台本をどこにでも持って行って、覚えて覚えて何回も、みたいな・・・ということは、結局覚えが悪いのかもしれない(笑)
一同:(笑)
故林:僕は役者さんの声を聞いたりとか動きをみせてもらったりとかの方が台本書きやすいんで、稽古をしながら、役者さんがやりやすいというか、自然にやってもらえるような役柄っていうかというのを作っていけたらなあって思ってますけどね。
阿藤:そうだねえ、今回の芝居はね、僕は喜劇がいいなあと思ってるんだ。
故林:僕もずっと笑いだけを作ってきてるんで、望むところです。
堀越:そうですね、お客さんがたくさん笑ってくださるといいな。
阿藤:大笑いしてね、で、ちょっと泣いてもらえるのが一番ですね。笑えて泣けて、そしてためになると。
堀越:ためになるもありですか?(笑)
故林:じゃあちょっとだけ(笑)
堀越:楽しみにしてます、その“ちょっと”も(笑)
故林:もう本当に色んな世代の人に見に来てもらえらればいいなあと思いますね。素敵な喜劇にしたいなと思います。