稽古日記

『絹~練り笑い・人間交差点~』 準備日記

2002/10/26 本番
 朝10時に会場入り。泊まり込んだ人々。成田君は朝方に一旦帰ったらしいけど、パソコン仕事でほとんど寝てないとのこと。香坂さんも舞台の仕上げにほぼ徹夜。バラエティ番組の収録もよく朝まで続いたけどそんな空気。Dに入るのも芸人に囲まれるのも初めてのフラフーパーたちに緊張感。新鮮だ。そこへ古びたエディ・水沼が朝イチの新幹線で到着、「今回こんなに人数出るんだ」っていうワサワサした場当たりがスタート。エディはフラフーパーに絡む「歌ネタ」の所をのびのび稽古、水沼は菊川のマネして冷えピタシートをおでこに貼ってリラックス。

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予想以上の入りのマチネ。中脇師匠、親族竹井登場。実は土田英生が近くのホテルで缶詰め(『天才柳沢教授の生活』の最終話執筆らしい)になっていて「抜けられそうだったら来る」って知らせ。ソワレは当日券の売れ行きが伸びて急きょサジキを増設、「たまにはNOと言えよ」と水沼にけしかけられる佐藤真義はフラフーパー単独公演の券売係を自然に受け入れていく。
全く違う色のユニットが一同に集まった戸惑い、でも「単独公演に向けて20分の時間を使い切る」構成は今後、いろんなユニットに参加してもらい、演劇/演芸問わず人の
行き交う場にしたいもんです・・で、結局土田君は来れず、ソワレに来た犬飼と4人のガバメント写真をHP管理人の尾田さんが撮影する打ち上げ会場。黒字興行にマネージャー秋山君安心、そして名物となった深堀君のスプリンクラーのような全方位ツッコミ、気づいたら店中に行き渡る勢い。
 翌朝TVをつけると『題名のない音楽会』に神田山陽さんが出ていて、こないだ駆け足で去ってしまった襲名披露興行の楽屋を思い出す。

2002/10/25 稽古最終日
 最終日。まず北沢南で暴動miniのオリジナルコント。三浦の理不尽なつぶやきに吉村がうなずく(突っ込まない)という「ボケ×ツッコミ」ならぬ「ボケ×素直」という新ジャンル。続いてフラフーパー、指示を待たず自分たちで演出を進めている様子。今回の課題にそれぞれ取り組む若手たち。10:00からはシアターDに移る。香坂さんたち舞台班が作業をする中、鈴木さんが自ら手本を見せて演出する中、ダークホースはオチを修正するなど仕上げに入り、ラックチャック+ヴィンテージもギリギリまで事細かに呼吸合わせ。JJは楽屋で延々ネタ合わせ、ラックチャックと共にDで夜明かしの兆し。私の方は帰宅してこの日誌を書いてるんだけど、これから劇作家協会のセミナー提出作品のうち、リーディングで採用するものを選ぶ仕事。また徹夜。

2002/10/24 Dで深夜稽古
 パンフ・アンケートの印刷を済ませ、作家養成の打ち合わせ。沼田健君(コネクト稽古日誌に登場してます)が書いてきた台本(本人言う所のミニマムな台本)の脱力さ加減にウケる。彼らと流れ込むシアターDは連日の夜通し稽古。JJ大森、独白を録音。なぜかわからんが「むなしく」というセリフをなんどやっても「むなむなしく」と読む大森(清志郎似)。たしかにありそうな日本語だが聞き捨てならない。彼らのネタの冒頭は、録音と実際の演技が絡むという新感線の殺陣シーンのような緊迫感。音響・小久保さん、照明・高谷さんとキッカケを合わせ、三浦(尾崎豊似)と吉村(清原似)の暴動Miniも加わる。そしてここに出てくる「~似」というのは一ひねりされた似方なので皆さん会場で「あーそういうことね」って納得してみて。香坂さんからは改訂された舞台イメージ図が上がってくる。ダークホースの最後の展開をあーでもないこーでもないと朝方までもがく。則行さんにも付き合ってもらって。

2002/10/23 Dで深夜稽古
 10時半スタートの夜通し稽古。Dだから退館時間に追われないとは言え、ほんと笑いが好きな若者たちだ。定時制高校の野球部ドキュメントぐらいの熱さはある。ヴィンテージは武井君のセリフの”溜め”、大赤見君のツッコミのバリエーションを熱く直し。たぶんこんな熱い舞台裏を見せたらお客は感動はすれど笑わないね。そりゃいけません。鈴木則行さんの演出はラックチャックにも熱く及び、ダークホースには無駄な言葉を削ぎ落とすって宿題が。美術の香坂さんと袖幕、梁の処理を考える。

2002/10/22 シアターD~北沢南
 昼はDで稽古。ヴィンテージは東京オトボケVs大阪ツッコミの取り合わせ、音楽界で言うとChar&石田長生つまり”BAHO”のようなものだ。二人が動き中心のコントを練る一方、ラックチャックは演技力勝負の状況コントに挑戦。ダークホースの課題は、普段の安定感を揺るがす「やすきよ」ばり?の漫才コント。『笑主義』演出の鈴木則行さんにも見てもらう。三浦・菊川・JJも顔を揃えスタッフと打ち合わせ(JJとは場所を移して台本打ち合せも)。
夕方からは北沢南、Hula-Hooperの稽古に鈴木さんと立ち会う。新作の看護婦コントは、位置関係を変え、梅澤婦長の動揺を立てる方向で固める。浅木さんの「なんにも狙わない」面白さが進化してきたような・・・彼女たちの無欲な不謹慎、不条理コントで特異な存在になれるのでは。

2002/10/21 スライド受け渡し、電話打ち合わせなど・・
 午後イチでダークホースの漫才台本第二稿をファックス。漫才を書くのは関西時代以来。久々に天下一品にでも行こうかって気分だ。あの頃の二丁目劇場や松竹の若手たちは今何を・・・
 水沼・エディからそれぞれ電話、詰めの段階。すわさんからは26日行けないって電話(『サイコドクター』の撮り)。池袋でスライドネタの受け渡し(明日試写)。パンフ文、アンケート、JJ台本のアレンジを進めて夜は延々選曲。

2002/10/19 ガバメント台本とダークホース台本
 「神田山陽」襲名披露興行から帰って、二日ほど体調が悪くて止まっていたガバメントの新作台本を書き上げる。エディにファックス、小道具手配など詰める。フジTV『天才柳沢教授の生活』の収録で東京に来ていた水沼、撮りを終えウチへ来る。急な雨に傘を持っていなかったらしく濡れネズミ。台本に目を通し「後半にもうひと展開入れないか」ってアイデアを、乾き切らないまま提案。ダークホースの漫才台本をDにファックス。その横で水沼、徐々に乾いていく。明日はエディ・水沼、京都で終日稽古。

2002/10/15 シアターDで打ち合わせ~台本読み合わせ
 Dの芸人、ダークホース、ラックチャック、ヴィンテージが集まり、台本読み合わせ。ダークホースの漫才2本のうち、1本は彼らの「犯罪シミュレーションネタ」を書き直し広げるってことで。三浦加えて全体構成の話、若手が制限時間を気にせず、やりたいように自己アピールできる場、いわばシャベリ場に。間違えてみました。しかしあの番組も不況の御時世を反映してるね。

2002/10/14 ガバメントは遠距離稽古
 『絹』で5年振りの新作を上演するガバメント(今回はエディ・水沼の二人)。新作台本をエディにファックス、京都の稽古場で読み合わせた手応えを電話で伝える水沼「この本でイケそう、面白くなりそう」。でも設定にどーも満足できないので書き直すことに。

2002/10/10 Hula-Hooper稽古場~JJポリマー出演ライブ
 『絹』出演者は当日までそれぞれ別準備。Hula-Hooperは北沢で稽古、浅木さんと高木さんのどちらがキャスター役をやるのか読み合わせ。暴動miniは雑談のようなネタ合わせを給湯室にて。OLみたいね。駅前劇場では元「時田301」の芸人が集うライブにJJポリマー登場。息の合った家族コントで観客投票2位。終演後は『絹』の舞台に掛ける自殺コントを膨らませようと打ち合わせる居酒屋。店内にスリードッグナイトの古い曲が珍しく流れていて、そういやこの曲使って最初のコント企画(大学祭)をやったもんだと思い出す。成田君、焼き鳥を注文した反動のようにすーっと眠りに。お疲れ。

2002/10/8 『絹』打ち合わせ~戯曲セミナー・リーディング公演
 単独ライブ集『絹-Kinu-』の打ち合わせをシアターD支配人・矢野Jr.氏と。お笑い界の現状を何かと打破してみたい。合同ライブは過去に「ラーメンズ+アルファルファ+親族代表(3回目には+シャカ)」であったり、「ペテカン+ノンストップバス+着ぐるみピエロ+耳なり+親族代表+暴動Mini(当時は三浦・丸山)」であったり、また何よりシアターDの柿落とし(当時はJr.氏のお父さん・矢野浩祐支配人)を「ジョビジョバ+グループ魂+GO・JO+ガバメント・オブ・ドッグス」でやっていたりする。今回も人間交差点を一つ。Jr.さんから「土田台本が今、面白いそうですね。紹介して下さい」って話。まー、ここでもか。
 戯曲セミナー昼クラスのリーディング公演を途中から見学(シアタートラム稽古場)。桃唄309の長谷基弘さんが講師で生徒さんの戯曲を発表、読むのは桃唄の役者さんたち。参加していた劇団員の嶋村太一も考えたら休み無し(昨日は親族代表で映画のイベントに出ていた)。事務局の江藤さんと11/5の故林講座のリーディングの進行の話。帰りにテレヴィジョンとクラフトワークの復刻CD購入、要町の知り合いの飲み屋に入ってダークホースの漫才台本。あと3週間無いしね。